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ウィットウィシット・ヒランウォンクン インタビュー

Q: どのような関心を持って本プロジェクトに参加した?

2013年に舞台のお仕事をするようになってから、毎年少なくとも1本は舞台に出演しているのですが、出演するだけでなく音響制作も担当したりして、どんどん舞台の仕事に興味を持つようになりました。この作品は、海外との共同制作で、私自身がウティット(Uthis)さんのファンでもあるので、ウティットさんと日本の演出家の共同プロジェクトなんて絶対面白いものになるだろうと思って、どうしても参加したかったんです。

Q: ウティット作品の魅力は?

元々はアーティストから出発しているウティットさんの小説は、使われている言葉がすごく綺麗で、豊かなディティールを含んだ、とても映画的な作品だと思います。また、小説家出身ではない自分が小説を書いていた頃のことも思い出して、彼は先生のような存在です。

Q: 原作小説の印象は?

人の形と、国や街など様々な物の「形」が重なり合っている。そして内と外というコンセプトも面白いですよね。この小説は、ウティットさんが裸になったような、極めてプライベートなものだと思う。どれくらいが実体験なのかは分からないけれど、すごく情熱的な部分が私は好きです。

Q: いま言及した、様々な形の対比を強く感じさせる印象的なエピソードを教えてもらえる?

この作品では、登場人物同士の掛け合いが、その時々の政治的な変化と関連しているんです。例えば、シラパコーン大学(Silpakorn University)の、大学の中でも過半数である先輩に、少数派の新入生が従わざるを得ないシーンは、タイ国内で少数派が多数派に蔑ろにされている構図と似ています。シン・ピーラシー(Silpa Bhirasri)先生の像へのいたずらから発展した事件は、自身が心酔するものを批判する相手に危害を加える、という現実社会でも実際に起こっている出来事に重ねられます。小説を読んで思ったのは、誰かと接することで、自分のアイデンティティに新たな部分が生まれる、ということ。そして、政治的な出来事も、今までに起こった政治的な出来事の記憶により形成されて、そこには何かからの繋がりがあるっていうことがわかりました。

Q: なぜ舞台の仕事に興味が湧いたの?

音楽家として活動していた時、自分の容姿を好きなファンばかりで、音楽自体のファンが少なく、音楽家として自分が伝えたいことが何も届いていないのでは、と不満を持っていました。しかし、舞台に出演する時は、観客はお金と時間をかけて見に来てくれるので、自分が伝えたいことを100%伝えられますし、自分が見られたいように見てもらえるので、誠実にやりたいことをやっていれば、誰かが自分の伝えたいことを分かってくれると思ってます。

プロフィール

ウィットウィシット・ヒランウォンクン

パフォーマー、俳優、歌手、ソングライター、文筆家。タイ映画『Love of Siam』主役として一躍東南アジアで注目を集め、ソロアーティストとしても『PCHY』名義でタイや中国にてアルバムをリリース。近年は舞台俳優活動も積極的に行う。IATC Thailand Dance and Theatre Awards 2016にてオリジナルミュージカル”Cocktails”が最優賞ミュージカル賞と最優秀男優賞を受賞。2018年、自身が脚本を務めた一人芝居” {private conversation} : A Farewell To Love Of Siam”がIATC Awards にて‘Best Adapted Script For A Performance / Playを受賞。

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