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ティーラワット・ムンウィライ インタビュー

Q: プロジェクトの構想や全体像を聞いてどう思った?

とても壮大なプロジェクトですよね。タイのコンテンポラリー作品で海外上演されるものは、フィジカルシアターやダンスなどセリフの無いものがほとんどなので、タイの歴史・社会の記録でもあるこのような作品が海外で上演されるのがとても嬉しいです。

また、海外の人たちにもここ15年のタイの全体像が見えるのではないでしょうか。ウティット(・ヘーマムーン)も「出口がない」と言っているこのようなタイの現状を、本作を通じて世界の人々へ伝えられる、大きな意味のある作品になると期待しています

Q: B-floor Theatreでティーラワットさん自身が演出を務める作品は、どんな作風でしょう?

2010年5月に99人の赤シャツ派が殺害された事件を受け、3部作を作りました。第1作目の『Flu-O-Less-Sense』は、タイの街中で定期的に大規模に行われる大掃除イベント「ビッグ・クリーニング・デイ」に関する作品。Democrazy Theatre Studioで2010年6月に上演しました。続く第2作は『Fool Alright』という作品で、2011年に上演しました。赤シャツ派への暴力が発生した原因をタイの内部で探るという内容です。そして、第3作の『Oxygen』 は出口のないタイの現状を描くもので、2012年に上演しています。

また、タイ、ラオス、ミャンマー、インドネシア、日本で芸術と検閲の関係について調査して新しく作った作品が2つあります。それが、普通の人間がどうやって加害者になるかを探った『Ice Bark』という作品と、突然行方不明になった人が政府・警察により殺害・遺体隠蔽され、その遺体が赤いタンクに入れられていた実際の出来事を題材にした『Red Tank』という作品です。

Q: 本作をどんな観客に届けたい?

バンコクに住んでいる一般の人々に見てもらいたいです。ヨーロッパでもタイの政治状況について興味を持っている人が多くいると思うので、本作を見ることで現在のタイについて理解していただく手助けになるのではないかと思っています。

プロフィール

ティーラワット・ムンウィライ

B-Floor Theatre共同創設者・共同芸術監督。パフォーマー、ダンサー、フィジカル・シアター作品の演出など多岐にわたる活動を展開。造形芸術と舞台芸術を融合させ、社会と政治における暴力や不公平さなど人々の生活に影響を与える構造の問題を扱いながら批評的な作品を創作。現代タイにおける最もクリティカルかつ社会性の高い演出家と評されている。2012年、長年にわたる平和、民主制、正義への貢献にあたりPiti Silp Santhi Dhamma Awardsを受賞。国際的なコラボレーションの経験も数多く、2019年にはB-Floorとソウル拠点の身体的演劇グループ・Momggolシアターとのコラボレーションで、IACT Awardを受賞。2018年、タイ文化省よりSilpathorn Award受賞。

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